Ⅳ 電気について考えよう ー電子回路を考えるー
1 交流について
2 電気が家庭に届くまで~送電について考えてみよう!~
(1) 家庭に電気が届くまで
(2) 何で交流で送電するの?
(3) 3相交流
3 交流電流について学ぼう(実験)
4 3路回路の実験
5 神経衰弱ゲームの製作

「Ⅳ 電気について考えよう」の2回目です。今回は、前回できなかった交流についてと電子回路について実験を交えながら探究していきます。
1 交流について
電気にはプラス・マイナスの向きが変化しない「直流」と、交互に変化する「交流」があるということを前回の講座で学習しました。もう少し詳しく学習しました。発電所から家庭などに送られてくる交流は、時間とともに電圧と電流の向きが変化しています。この変化は非常に速いので電球がついたり消えたり・・・というように人間の眼で直接見ることはできません。これを観察することが出来る装置がオシロスコープです。


交流の電圧は上の図のように徐々に電圧が上がり最大値まで行くと下がり、プラスマイナスが入れ替わって徐々に(マイナス方向に)電圧が上がるとまた徐々に下がり、ということを繰り返しています。瞬間的には電圧がゼロになるときがあります。オシロスコープをとおすとこの波形が見られます。


プラスマイナスの向きが交互に変わる交流を、一方向のみにする回路を整流回路といい、ダイオードという電子部品が使われます。例えば、交流の下半分の波をカットすることで反対方向の流れがなくなります。これは半波整流と呼ばれ、電圧ゼロの状態が増え、電気が脈打つように流れるので脈流とも呼ばれます。

これでは効率的ではないので、ダイオードを4つ組合せ、半波整流でカットしていた電流の向きを変え、効率よく電気を流します。これは全波整流と呼ばれます。それでもジグザグ部分が残るのでコンデンサを使って、コンデンサの蓄電放電により平らにならします。これを平滑回路といいます。


最近の電子機器、電気機器はインバータという回路が使われています。発電所から送られてきた交流を一旦整流して平滑化し、再びこれをスイッチング素子などを用いて交流に変えるもので、エアコンのモータを精密にコントロールし、効率的な運転を行ったり、周波数の影響でちらつく照明もちらつきが抑えられたりします。身近な電化製品にもたくさん使われるようになってきました。
2 電気が家庭に届くまで~送電について考えてみよう!~
(1) 家庭に電気が届くまで
電気は発電所で作られて送電線で家や学校などに送られてきます。発電所から送られてきた電気はプラスマイナスが交互に入れ替わる交流です。日本には交流が2種類あります。富士川を境に東日本は50Hz、西日本は60Hzです。これは最初に導入した発電機がドイツ製の50Hzであったかアメリカ製の60Hzであったかの違いだそうです。
私たちの周りには電気で動作するものがたくさんありますが、これらは交流で動くものと直流で動くものがあります。身近なもので直流で動くもの、交流で動くものを見つけるのが課題でしたが、たくさん答えてくれました。電気機器の中にはより正確に安定して動かすために、交流を直流に替えたり、交流を直流に替えてまた交流に替えて動かしているものもあります。




50Hzの地域から60Hzの地域に引っ越しをしてそのまま電化製品を使用すると明るくなったり暗くなったり、早く回ったりなど影響が出る場合が見られましたが、今の電気機器の多くは周波数の影響がないように工夫されています。日本の家庭の電源は、交流100Vですが、世界を見渡すといろいろです。220Vや240Vの国が多く見られます。
(2) 何で交流で送電するの?
では、なぜ交流で送電しているのでしょうか?それは、交流の方が変圧器を使うと少ない損失で簡単に電圧を変えられること、そして安全に遮断できることです。

電柱の上に、ときどき円筒状のものを見かけます。あれが変圧器です。発電所から送られてくる電圧は途中で電圧を変えながら長い距離を送られてきています。このため、できるだけロスが少なく、変圧が容易な交流が用いられます。
また。交流の場合、交互にプラスマイナスが入れ替わっていて、途中で電圧がゼロになる瞬間があるので、このときに供給を遮断すると(スイッチを切ると)、大きな火花など発生せずに安全に遮断できます。発電所から送り出される電気の電力は一定なので、電圧を上げれば電流は小さくなり、電圧を下げれば電流は大きくなります。このことは、なぜ送電が高圧で3相交流で送られているのかという理由に関わってきます。
(3) 3相交流
発電所からの送電は、3相交流で送られています。3つの交流が3分の1づつタイミングをずらして送られているため、ゼロになる瞬間がなく、モータなどの電動機を使用する場合、安定した電力を供給できます。



また、同じ電力を送るのに単相交流と比べると電線を省略できるため銅線を25%節約できます。発電所で作られた電気はこのように三相交流で高圧送電され、途中で変圧器で段階的に降圧し、家庭に引き入れる直前に100Vに変圧され、3相の1相分だけを引き込んでいます。
3 交流について学ぼう(実験)
なぜ交流で送電されるのかについて、実験で確かめてみました。家庭用の電源から、スライダックという変圧器を介してニクロム線に電流を流します。一方は100Vそのまま、もう一方は10Vに落として流しました。発熱、つまり損失(ロス)の程度を比べるために、発泡スチロールを置きました。なんと10Vの方が発熱(ロス)が大きく発泡スチロールが溶けてしまいました。できるだけ高電圧で送電した方がロスが少ないことが分かります。


次に送電線の長さで損失(ロス)がどのように違うかを確かめました。


同じ10Vを長さの異なるニクロム線に流します。
長い方のニクロム線の方が抵抗が大きいため電流が小さくなり発熱量は小さく、短い方のニクロム線の方が抵抗が小さいため電流が大きくなり発熱量が大きく発泡スチロールが早く溶けました。流す電流を少なくすることが損失を押さえるカギになります。
さらに送電線の太さと損失(ロス)の違いを確かめました。同じ10Vですが太いニクロム線に乗せた発泡スチロールの方が早く溶けました。送電線は太いと多くの電流が流れ損失が大きくなります。



まとめると左のとおりでした。このため発電所からは3相交流で電流を極力小さくしてロスを押さえて送電し、利用する家や学校などの施設の近くで電圧を100Vや200Vなどに変圧していることは理屈にかなった選択です。
4 3路回路の実験
実際に電気を使う場面では、電源にスイッチやランプ、電子機器類を接続します。電気が通り抜けて、元の場所に戻ってくるまでの一巡りの道がループ状に作られているので回路と呼びます。簡単な回路を実際に作ってみました。例えば、階段の上と下で、階段の照明を点灯・消灯させる回路を考えてみました。単純に1階と2階にそれぞれ照明をon-offするスイッチを取り付けただけでは1階でスイッチを切ってしまうと、もう一度1階に行かないと照明をつけることが出来ません。でも実際には1階でも点灯・消灯できるし、2階でも点灯消灯できます。


これには3路スイッチと呼ばれるスイッチを使った回路が使われています。電源(電池)、電灯代わりの豆電球、3路スイッチ2個(1階と2階)、抵抗を紙に書いて回路図を作ってみました。回路図が出来たらブレッドボード上に回路を作ってみます。

回路は工夫次第で、便利な動作をしてくれます。回路図⇒実態配線図⇒回路組み立て、回路設計の初歩の初歩に触れてみました。
5 神経衰弱ゲームの製作
ここまで学習してきた電子回路の応用として神経衰弱ゲームの製作に挑戦しました。テレビで見る「いらいら棒」です。迷路状に曲げた銅線をたどって先端をループにした銅線を、接触しないようにスタートからゴールまで動かします。途中で銅線が接触するとスイッチが入ってブザーが鳴り、赤色のLEDが点灯するというものです。迷路状に曲げた銅線を複雑にするほど難易度は上がります。


回路図を見ながら、ブレッドボード上に電子回路を作ります。必要な部品は部品一覧のとおりでした。スイッチ、抵抗、2色のLED、ブザー、電源(電池ボックス)、そして迷路の銅線とその迷路に沿って動かすリード線です。


回路図を実際の配線図に変える必要があるので、部品を紙に書き、これを回路図どおりになるように線で結び実態配線図を仕上げました。




筐体に迷路となる銅線を取り付けます。むき出しの銅線部分が接触してショートしないように熱収縮チューブという加熱で縮む管を銅線につけておき、ヒートガンで加熱して仕上げました。

筐体に迷路となる銅線を取り付けます。むき出しの銅線部分が接触してショートしないように熱収縮チューブという熱で縮むプラスチックの管を銅線につけておき、ヒートガンで加熱して仕上げました。。


作成した実態配線図のとおりにブレッドボード上に回路を作っていきます。ブレッドボードのホールがどのようにつながっているか理解していないと間違えてしまいます。
回路が出来たら、回路を筐体に収めてしまう前にちゃんと回路ができているか試験しました。電池ボックスを接続し、迷路とリード線が接触すると赤色LEDが点灯しブザーが鳴るかどうか確かめます。
正しく動作したら組み立てて完成です。ブレッドボードを筐体に入れてねじ止めしふたをします。


さあ完成したらゲーム開始です。スピードを競います。うまくできたら、迷路を段々むづかしくしていきます。みんな歓声を上げながら夢中になって挑戦しました。スイッチ、抵抗、LED、ブザー、電池と銅線、こんな簡単な回路でこういうゲーム回路も作れます。他にどんなことにお応用できるかな?色々なアイデアが出されました。防犯用に窓が空いたら鳴る回路に使えるとか...
