Ⅳ 電気について考えよう
1 電気ってなぁに?
(1) 電気の発見の歴史
(2) 電気って何?
(3) 電気が流れる(電流)って何?
2 静電気とは~電気をからだで感じよう!~
(1) 静電気って何?
(2) バンデグラフによる演示実験
(3) 静電気(触れずに空き缶移動)
(4) 静電気(引き合いと反発)
(5) 静電気(電気クラゲを作ろう)
(6) 静電気(フランクリン・モーターを動かそう)
(7) 静電気(百人おどし)
3 直流と交流~電気の基本を理解しよう!~
(1) 豆電球で回路をつくろう
(2) LEDで回路をつくろう

「Ⅳ 電気について考えよう」です。今回から4回に渡って電気の基本について、実験を交えて学んでいきます。第1回目は、電気の正体は何か?身近な電気現象の一つ静電気にまつわる不思議を体験、発電所から家庭までどのように電気は送られれかなどについて学習しました。私たちの生活に電気は不可欠ですが、知らないこともたくさんあります。電気の世界への探究のスタートです。
(1) 電気発見の歴史
電気は古代から人間の生活に身近なものでした。静電気、雷、電気の現象は身近にあふれていましたが、その正体が分かるまでにはたくさんの年月と先人の努力、そして発見がありました。古代ギリシャ(紀元前600年ころ)で、タレスはコハクを布でこすると軽いものを引き寄せることを発見(静電気)しました。それからかなり年月が過ぎた1752年に、ベンジャミン・フランクリンは、凧の実験で雷が電気であることを証明しました。そして、「正電荷」「負電荷」の概念が登場し、電流の向きが「+からー」と定義されました。1780年にガルバーニは、カエルの脚のけいれんから「動物電気」を発見し、1800年にボルタはガルバーニの「動物電気」を否定し、ボルタ電池を発明しました。これが、いま私たちが使っている電池の基礎になります。そして、1820年にアンペールはアンペールの法則(いわゆる右ねじの法則)を発表、J.J.トムソンが1897年に、電子を発見し、電子が「ーから+」に流れていることが判明して、フランクリンの時代に定義された電流の向きと電子の向きが違っていることがわかりました。学校の理科でも習いますね。
1 電気ってなぁに?
(2) 電気ってなに?

私たちの身体を含めて、水も空気も、そして地球上のすべての物質は原子でできています。その原子は中心に原子核があり、その周りを電子が高速で回っています。電気の正体は、この原子核の周りをまわっている電子です。何らかのエネルギーを受け取ると電子は外に飛び出します。これが静電気であり、導線を流れている電気の正体です。
ではこの電子は、静電気や導線の中でどのようにふるまっているのでしょう。
(3) 電気が流れる(電流)って何?
導線の中の電子は、実はそんなに早く動いていません。でも電気はほぼ光に近い速さで伝わるともいわれますが、どういうことでしょう。


導線中の電子の動くスピードはドリフト速度と呼びますが、これはかけられているエネルギーにもよりますが、秒速0.1㎜~数cm程度と非常に遅いのです。一方、電流は導体を通って光に近い速度で届いています。これは導体の中は自由電子でいっぱいに詰まっているので、ところてんを押し出すように一方から順に押し出され、電子のエネルギーは一瞬で伝わっていきます。このように電気の流れは、端から端まで電子が猛スピードで走っているわけではなく、電子が充填された状態によって、非常に速いスピードで伝わっていきます。
2 静電気とは~電気をからだで感じよう!~
冬の乾燥した日にセーターを脱いだり、ドアノブに触れるとピリっと来る、あの静電気はどういう現象でしょうか。いくつか体験しながら学習してみました。
(1) 静電気って何?
静電気の正体も、冒頭で説明したように、原子核の周りをまわっている電子です。ただ、導体の中を流れるのではなく、物体の表面にとどまっています。例えば、2つの物体をこすり合わせると、一方の物体の電子がもう一方の物体に移り電気のバランスが崩れます。一方は電子が余剰になりマイナスに帯電し、一方は電子が不足しプラスに帯電します。これが極端にアンバランスになると、周囲に放電したり、周囲の電気を帯びているものを引き付けたりします。これが静電気の現象ですね。


物体には、もう少し正確に言うと物体を構成している物質には、電気を帯びる性質に違いがあります。例えばガラスや髪の毛はプラスに帯電しやすく、塩ビやポリプロピレンなどのプラスチックはマイナスに帯電しやすいのです。この違いは、物質を作っている原子やその原子どうしの結合が関係しています。髪の毛と塩ビをこすり合わせると、静電気が発生し、髪の毛はプラスに帯電し、塩ビ(下敷きなど)はマイナスに帯電します。この静電気は、他に帯電している小さな物質、ほこりや紙きれを引き寄せます。

下敷きで髪の毛をこすって、静電気を体感してみました。髪の毛が下敷きに引っ張られます。さらに静電気の不思議な性質を確認するために、バンデグラフという静電気発生器をつかって、いくつかの実験を観察しました。
(2) バンデグラフによる演示実験
髪の毛をこすって静電気を作ることは限界があるので、バンデグラフという静電気を効率よく発生させる装置を使います。

バンデグラフは、ロバート・J・バン・デ・グラフというアメリカの物理学者が1929年に発明した装置で、モーターでベルトとプーリーをこすり合わせ、その摩擦で静電気を発生させ、金属の球に集める機械です。静電気がたくさんたまると放電する様子や蛍光灯を点灯させる現象などを観察しました。
バンデグラフを使うと数万ボルトから数百万ボルトという高電圧を発生させることが出来ますが、電流はほんの僅かです。でも相応の衝撃は感じます。

放電の様子を観察しました。バンデグラフで帯電させた球に、アースを接続した別の金属球を近づけます。数cm程度のところまで来るとパシッと音がして火花放電が起こります。帯電した静電気がアースに向かって放電した瞬間です。

蛍光灯の管の中には、アルゴンなどの不活性ガスと微量の水銀が入っていて高電圧をかけると放電し、その時発生した紫外線で、蛍光灯の内側に塗った蛍光材が発光して照明になります。静電気の電圧は高いので、静電気を帯びた物体を蛍光灯の管に近づけると高電圧で放電し、光ります。下敷きをこすって発生させた静電気や、セーターを脱いで発生した静電気でも蛍光灯を光らせることができます。

フランクリンモーターが「電極どうしの引き合い・反発」で回るのに対して、ハミルトンの風車は「作用・反作用の法則」で回っています。アルミ箔で両端が尖った棒をつくり、軸の上に乗せてバランスをとります。これに静電気を帯電させると不思議なことにアルミ箔の棒は回り始めます。
これは、アルミ箔の棒の先端に静電気の電荷が集中して尖端放電をおこし、先端周辺の空気をイオン化させ、このイオン化した空気は棒と同じ電荷を帯びるために反発力で弾き飛ばされます。空気が前方に吹き飛ばされる反動で、アルミ箔の棒(風車)は後ろ向きに押し出され、クルクルと勢いよく回転します。
(3) 静電気(触れずに空き缶移動)
静電気が帯電した物体はプラスまたはマイナスの電気を帯びます。同じプラスどうし、あるいはマイナスどうしの場合は、反発する斥力が働きます。一方、プラスとマイナスの場合は引き合う引力が働きます。塩ビパイプをナイロンでこすると静電気が発生し、塩ビパイプがマイナスに帯電します。


帯電した塩ビパイプを空き缶(アルミニウム)に近づけると塩ビパイプに近い空き缶の表面がプラスに帯電し引力が発生します。この時、空き缶の反対側はマイナスに帯電しているので、塩ビパイプを反対側にもっていくと斥力を生じます。

この帯電による斥力、引力を使うと、空き缶も手を触れずに移動させることが出来ます。うまく移動させることが出来るかな。
(4) 静電気(引き合いと反発)
帯電した物体を他の物体に近づけると、近づけられた物体の表面には近づけた物体の電荷とは反対の電荷が生じます。このため、物体は引き合います。


しかし、両方の物体が接触してしまうと表面の電荷は同じになるため斥力が働いて反発します。実際にやってみました。
紐の先にアルミホイルで作った小さな球をぶら下げます。帯電させた塩ビパイプを近づけるとアルミ球は引き寄せられます。アルミ球が塩ビパイプにぶつかってしまうと今度は反発します。不思議ですね。目に見えないですが電気の力が働いています。
(5) 静電気(電気クラゲを作ろう)
ポリエチレンのテープを引き裂き、クラゲのようにします。テープにも、塩ビパイプにも静電気をためて双方を近づけると、静電気どうしの反発力でテープが広がり、浮き上がります。まるでクラゲのようです。


できるだけテープを細く引き裂くことで広がったテープがクラゲのように見えます。

(6) 静電気(フランクリン・モーターを動かそう)
静電気を活用した装置の一つにフランクリンモーターがあります。その名のとおり、雷が電気であることを証明した、ベンジャミン・フランクリンが発明した、静電気の引力・反発力で回転するモーターです。これを作ってみました。


塩ビのパイプをナイロンでこすると静電気が発生します。これを蓄電ビン(雷電コップ)にためて、アルミ箔で作った羽に送ると、アルミ箔の羽が帯電し、静電気どうしの反発力と引力で不思議なことに羽が回ります。みんなたくさんの静電気を発生させて速く回すため一生懸命です。
フランクリンモーターは実際のところ、トルク(回す力)が非常に弱く、湿気にも弱いので実用化はされませんでしたが、電気の基本原理を学ぶにはとても興味深いものです。
(7) 静電気(百人おどし)
静電気を利用したパフォーマンスの一つに百人おどしがあります。これはライデン瓶(雷電コップ)にためた静電気を、多人数で手をつないだ輪に流して、静電気を体感するものです。バンデグラフで発生させた静電気を雷電コップにためて流してみました。


日本では、江戸時代の天才発明家・平賀源内が、自身が復元した「エレキテル(摩擦起電機)」を使ってこの実験を行い、人々を驚かせたと言われています。電流はわずかですが、電圧は高いので結構な衝撃を感じます。平気な人と苦手な人がいますね。
3 直流と交流~電気の基本を理解しよう!~
今度は、家庭のコンセントや乾電池から供給される電気の性質について考えてみます。家庭用電源は交流と呼ばれる1秒間にプラスとマイナスが50回もしくは60回入れ替わる電源が使用されています。一方乾電池やバッテリーから供給される電気はプラスとマイナスが入れ替わらない直流が供給されます。実際に回路を作って、電圧や電流、抵抗という電気で良く使われる用語の意味を学びました。
(1) 豆電球で回路をつくろう
電気は水の流れに例えられます。静電気は電圧はとても高いけれど電流が少ないということを学びましたが、この電圧や電流は水の流れで理解できます。電圧は水の流れる勢い、つまり水路の高低差、電流は川幅に相当し、この水の流れを妨げたるものが抵抗です。


実際に豆電球に電池ボックスをつないで点灯させてみました。豆電球には1.5V 0.3Aと書かれています。これは定格と呼ばれ、この豆電球を適正に使用するための条件です。試しにこの豆電球に6Vをかけてみたら、一瞬で豆電球が切れてしまいました。電気製品にはその使用にあたって、適正な電圧や電流があります。


6Vの電源しかないときに、豆電球を切らないようにするにはどうしたらよいでしょうか。それは抵抗を使って電圧を分ける(分圧といいます)ことです。図のように回路に15Ωの抵抗を挿入すると抵抗には4.5Vの電圧がかかり、豆電球には1.5Vの電圧がかかって、豆電球は切れずに点灯しました。


電池の向きを入れ替えてみました。豆電球は電池の向きが変わっても点灯しています。また、電源を乾電池から交流の電源にしてみました。やっぱり変わらずに点灯します。


ブレッドボードを使うと回路を自由に組み替えることが出来ます。どの列がつながっていて、どの列はつながっていないかよく考えて慎重に回路を作っていきます。はんだ付けしなくて済むので便利ですね。
(2) LEDで回路をつくろう
LEDは発光ダイオードと呼ばれる電子部品で、電気を流すと名前のとおり発光します。でも豆電球とは少し違います。発光ダイオードの定格は1.5Vくらいから3.2V程度で、流せる電流も数十mAです。この定格はLEDの色や輝度によって異なります。


乾電池のプラスとマイナスを入れ替えてみました。


豆電球の時と同じように定格の電圧電流にするために抵抗が必要ですが、抵抗は電圧だけでなく電流を制限する役割を持っています。豆電球と違い、LEDは一方向にしか電流を流すことが出来ず、電池の向きが変わると発光しません。


それでは交流を流してみましょう。点きましたね。でも、これを振ったり、あるいはスマホのカメラで撮影してみると、不思議なことに点滅しています。
この点滅は早くて、そのままでは人間の眼ではわかりませんが、LEDには電流を通す方向と通さない方向があるので、プラスとマイナスが入れ替わる交流電源を使うと、電流が流れたり流れなくなったりします。1分間に50回あるいは60回のスピードで点滅します。
今回は実験を交えながら電気の正体は何か、どういう性質があるのかなど探究してみました。次回は、家でも学校でもなくてはならない交流電源についてもう少し学び、回路を作ってみます。
